コインランドリーの開業を検討するとき、最初に悩みやすいのが「何坪の物件を選ぶべきか」という点です。坪数は設置できる洗濯機・乾燥機の台数を決め、そのまま初期費用や想定売上にも影響します。狭すぎれば繁忙時間帯の取りこぼしが増え、広すぎれば賃料や光熱費などの固定費が重くなりやすい点が難しいところです。
この記事では、小規模・標準規模・大型店舗それぞれの坪数の目安と、機器台数や費用の考え方を整理します。数値はあくまで一般的な目安であり、物件条件や施工条件によって変わる前提でご確認ください。
コインランドリーに必要な坪数の目安とは
結論として、コインランドリーの坪数は小規模5〜10坪、標準15〜20坪、大型25〜30坪以上という3つの帯で考えると整理しやすくなります。
設置できる機器台数と初期費用が坪数で大きく変わるため、物件探しの前に想定規模のあたりを付けておくことが重要です。
| 規模 | 坪数の目安 | 主な想定立地 |
|---|---|---|
| 小規模店舗 | 5〜10坪 | 住宅密集地、狭小地、都市部の空きテナント |
| 標準規模店舗 | 15〜20坪 | 住宅地の路面店、駐車場付きテナント |
| 大型店舗 | 25〜30坪以上 | 郊外型の広い土地、駐車場併設物件 |
小規模店舗5〜10坪の特徴と向いている立地
5〜10坪の小規模店舗は、洗濯機と乾燥機を合わせて数台から10台程度を設置できる規模が目安です。
住宅密集地や狭小地でも出店しやすく、土地の仕入れコストや初期費用を抑えたい個人事業主に向いた規模といえます。
都市部の空きテナントや駐車場の一部を活用した開業例もあり、坪単価の高いエリアでも検討しやすい点が特徴です。
一方で機器台数が限られるため、稼働率の高い立地を選べるかが収益を大きく左右します。
標準規模15〜20坪の特徴とバランスの良さ
15〜20坪程度は、コインランドリーのなかでも最も一般的とされる規模です。
洗濯機・乾燥機ともに複数台をバランスよく設置でき、待ち時間を抑えながら回転率を確保しやすい点が特徴です。
月商50万〜80万円程度を想定する事例が紹介されることもあり、初期費用と収益のバランスを取りやすい規模として法人や副業投資家にも選ばれています。
ただし実際の売上は立地条件や機器構成によって変動するため、物件ごとの試算が前提となります。
大型店舗25〜30坪以上の特徴とメリット
25〜30坪以上の大型店舗は、郊外型の広い土地や駐車場付き物件での出店に向いた規模です。
大型乾燥機や複数台の洗濯乾燥機に加え、コインシャワーや布団乾燥機などの付帯設備を設置する余裕が生まれます。
ファミリー層の多い地域では売上の上限を伸ばしやすい一方、初期費用と維持費も大きくなりやすい点に留意が必要です。
出店前に周辺人口や競合状況を踏まえた収支計画を立て、複数のシナリオで検討する姿勢が求められます。
坪数が狭すぎる・広すぎる場合のリスク
坪数が狭すぎると洗濯機・乾燥機の台数が不足し、繁忙時間帯に機会損失が発生しやすくなります。
反対に広すぎる店舗は賃料や光熱費などの固定費が収益を圧迫しやすく、稼働率が低いと採算が合わなくなる場合があります。
坪数は「大きいほど有利」とは限りません。周辺人口や想定利用者数に見合った適正規模かどうかを、物件ごとに確認することが重要です。
坪数別に見る機器台数と設置台数の考え方
坪数と設置できる洗濯機・乾燥機の台数には強い相関があり、坪数が広がるほど台数も増える傾向があります。
ただし台数の多さだけでなく、洗濯機と乾燥機の配分や通路幅の確保が稼働率と収益に影響します。
洗濯機と乾燥機の比率の基本的な考え方
コインランドリーでは一般的に、乾燥機を洗濯機よりもやや多めに配置する構成が採られる傾向があります。
洗濯工程よりも乾燥工程に時間がかかりやすく、乾燥機の回転が追いつかないと待ち時間による離脱が起きやすいためです。
洗濯と乾燥を1台でこなせる洗濯乾燥機は省スペース性に優れ、単独の洗濯機・乾燥機を組み合わせる構成は回転率を高めやすいという特徴があります。
坪数に応じてどちらを主体にするかを検討し、回転率を意識した機器配分を行うことが収益性のポイントです。
坪数別の設置台数シミュレーション例
設置台数は施工条件で変動しますが、計画初期の概算としての目安は把握しておくと検討しやすくなります。
| 坪数 | 設置台数の目安(洗濯機・乾燥機合計) | 想定される構成 |
|---|---|---|
| 約10坪 | 6〜8台程度 | 洗濯乾燥機中心の省スペース構成 |
| 約20坪 | 12〜16台程度 | 洗濯機と乾燥機を組み合わせた標準構成 |
| 約30坪 | 20台前後 | 大型乾燥機や付帯設備を含む構成 |
これらは標準的な目安であり、通路幅や搬入口の位置、配管・換気設備の条件によって実際の台数は前後します。
物件の図面をもとに、施工会社と事前にシミュレーションを行うことが大切です。
機器選定で失敗しないためのポイント
機器選定では、AQUAなど主要メーカーが展開する業務用洗濯乾燥機の仕様を比較することが欠かせません。
大型の洗濯乾燥機は一度に処理できる衣類量が多く回転率に寄与しますが、設置スペースと搬入経路の確保が前提となります。
乾燥機にはガス式と電気式があり、ガス式は乾燥時間が短くランニングコストを抑えやすい一方、ガス配管工事が必要になる点に注意が必要です。
坪数や物件の設備状況に応じてどちらの方式が適しているかは異なるため、メーカーや施工会社への確認を前提に検討してください。
通路幅や動線確保で注意したい点
機器を詰め込むだけでなく、カートや車椅子が無理なく通れる通路幅を確保することも重要です。
機器間の作業スペースが狭いと荷物の出し入れがしづらくなり、利用者の満足度低下につながります。
安全性と快適性を両立させる動線設計は、施工段階で図面上の確認をしておくと安心です。
坪数ごとの初期費用と収支イメージ
初期費用は、坪数が広がるほど機器台数や内装規模が増え、総額も大きくなる傾向があります。
目安として10〜15坪で2000万円台、15〜25坪で1500万〜3000万円程度とされる例があり、坪数帯によって収支規模も変わります。
金額は物件条件や機器構成で大きく変わるため、必ず複数社の見積もりで内訳を比較してください。
小型店舗の初期費用と月商の目安
5〜10坪規模の小型店舗は設置台数が限られる分、機器費や内装工事費を抑えやすい傾向があります。
一方でコインランドリーは営業時間中つねに機器が稼働するため、光熱費が売上の3割前後を占めるケースも珍しくありません。
月商が小さい規模ほど固定費比率の影響が大きくなるため、電気・ガスの契約プランや機器の省エネ性能も含めて試算することが望まれます。
標準規模の初期費用と月商の目安
15〜20坪前後は導入事例が多い坪数帯で、機器費・内装・設備工事を合わせて2000万〜3000万円程度が目安とされています。
メーカーが示す20坪クラスのモデルプランでもこのレンジに近い投資規模が想定され、月商60万〜100万円程度を見込む採算例が紹介されることがあります。
実際の金額は機器の組み合わせや内装グレード、物件の既存設備によって変動するため、相見積もりでの比較が前提となります。
大型店舗の初期費用と収益性の考え方
25〜30坪以上では機器台数が増えるだけでなく、大型乾燥機やコインシャワーなどの付帯設備で費用が上積みされやすくなります。
投資回収を考える際は、総投資額に対してどの程度の月商と稼働率を見込めるかを慎重に試算する必要があります。
地域の人口構成や競合状況、賃料条件で収益性は変わるため、断定的な回収年数を前提にしない検討が重要です。
ランニングコストに含まれる主な項目
開業後の支出は水道光熱費だけでなく、リース料やメンテナンス費など複数の項目で構成されます。
| 費目 | 主な内容 | 坪数・台数との関係 |
|---|---|---|
| 水道光熱費 | 電気・ガス・水道の使用料 | 機器台数と稼働時間に比例しやすい |
| 賃料 | テナント賃料、共益費 | 坪数と坪単価で増減 |
| リース料 | 機器をリース導入した場合の月額 | 導入台数に比例 |
| メンテナンス費 | 定期点検、部品交換、修理 | 機器台数と稼働状況で変動 |
| 清掃・管理費 | 店内清掃、集金、遠隔監視 | 店舗面積と運営体制で変動 |
初期費用だけでなく毎月の支出項目を一覧化しておくと、収支計画の精度が高まります。
初期費用を抑える工夫の例
初期費用を抑える方法としては、中古の業務用洗濯乾燥機の活用や、リース導入による自己資金負担の軽減が挙げられます。
地域や物件条件によっては創業融資や補助金制度を検討できる場合もありますが、要件や公募時期は制度ごとに異なります。
補助金や融資は、どの事業者でも必ず利用できるものではありません。適用可否は金融機関や自治体の窓口、専門家への確認が必要です。
よくある質問
ここでは、必要な広さの目安や費用感について寄せられやすい疑問を整理します。
コインランドリーは最低何坪から開業できますか
理論上は5坪前後の極小規模でも店舗として成立させる例はありますが、設置台数が限られる点に注意が必要です。
繁忙時間帯に機器が埋まりやすく機会損失が生じやすいため、現実的な目安としては5〜10坪程度から検討されることが多いといえます。
坪単価や賃料条件も踏まえ、物件ごとの収支シミュレーションを行ったうえで判断してください。
20坪のコインランドリーの初期費用はいくらですか
20坪規模では、物件条件や機器構成によって幅がありますが、おおむね2000万〜3000万円程度が目安とされています。
内訳は機器本体費に加え、内装・外装工事費、電気・給排水設備工事費、空調設備費、看板や防犯カメラなどの付帯設備費が主な構成要素です。
特に機器費は全体の大きな割合を占めやすく、大型洗濯乾燥機を複数台導入する場合はコストも上がる傾向があります。
既存設備の有無や施工条件で金額は変わるため、複数社からの相見積もりで内訳項目を比較することが望ましいといえます。
坪数が狭いと収益は下がりますか
坪数が広いほど設置台数が増え収益の上限は高くなりやすいため、坪数と売上は比例しやすい関係にあります。
ただし小規模でも立地条件が良く競合が少なければ、稼働率が高まり安定した収益につながるケースもあります。
限られたスペースで洗濯機と乾燥機の比率を工夫し、回転率を高める機器配分を行うことが重要です。
土地が20坪しかなくても開業できますか
都市部で20坪程度の土地でも開業を検討できますが、建物面積が限られるため設置台数は小規模から標準規模にとどまりやすくなります。
駐車場を確保する場合は建物に充てられる面積が圧迫されるため、建物規模と駐車台数のバランスが論点になります。
都市部は人口密度が高く稼働率を確保しやすい一方、車での来店が多い地域では駐車台数の不足が利便性に影響します。
土地の形状や接道条件、用途地域、周辺の競合状況については、施工会社や建築士への確認が必要です。
フランチャイズと個人開業で必要な坪数は違いますか
フランチャイズでは本部のモデルプランに沿って20坪プラン、30坪プランといった形で坪数と機器構成がセットになっているケースが一般的です。
本部のノウハウに基づく設計のため計画を立てやすい一方、立地に合わせた柔軟な調整がしにくい面もあります。
個人開業では土地や物件の予算、競合状況に応じて坪数を自由に設定できますが、機器台数や収支計画は自身で検討する必要があります。
どちらを選ぶかは、坪数設計の自由度とサポート体制のどちらを重視するかで判断するとよいでしょう。
まとめ
コインランドリーでは、坪数の設計が機器台数・初期費用・収益性を左右します。
小規模なら5〜10坪、標準規模なら15〜20坪、大型店舗なら25〜30坪以上を目安に、立地と予算、想定利用者層から規模を選ぶことが出発点です。
そのうえで機器選定やFC加盟・独立開業の比較も含め、複数シナリオの収支シミュレーションを行いながら計画を具体化してください。
費用や工事条件、法令・許認可に関わる点は、メーカー、施工会社、自治体や専門家への確認を前提に進めることをおすすめします。

